2026年1月28日 技術ブログ

IBM社の次世代AI開発パートナー「Project Bob」を最速レビュー!——VB.NetからJavaへの変換検証で見えた未来

はじめに 

弊社はIBM社のビジネスパートナーとして、これまでwatsonx Code Assistantを活用したCOBOLからJavaへの変換製品「Egeria-NextCode」の開発など、レガシーモダナイゼーションの最前線で活動してきました。
今回、IBM社よりリリース予定の次世代AI製品「Project Bob」の先行利用の機会をいただきました。実際にVB.NetからJavaへの変換検証を通して感じた、「Bobは従来のAIコーディングツールと何が違うのか?」という率直な感想をお届けします。

Project Bobとは?——単なるコーディング支援ではない 

まず、Bobの正体について触れておきます。Bobは「IDE(統合開発環境)」という形をとっていますが、その本質は「AI開発パートナー」です。
最大の特徴は、裏側のLLM(大規模言語モデル)としてAnthropic社のClaudeを採用している点、そして「エージェント型ワークフロー」を持っている点です。 単にコードを補完するだけでなく、エンジニアのように「計画」を立て、「実行」し、自ら「検証」するプロセスを持っています。

検証シナリオ:VB.NetからJavaへの変換 

今回、Bobの実力を測るために、あえて単純なロジックではなく、VB.Net/C#特有の言語機能を含んだコードの変換を依頼しました。

検証コードのポイント:

  • 文字列補間とフォーマット ($”…”, IFormattable)
  • リフレクション (GetType, GetMembers):自分自身のメンバー情報を動的に取得して表示する機能。
  • カルチャー変更 (CultureInfo):言語設定(en-US, fr-FR)による通貨表示の切り替え。

これらはJavaと1対1で対応する機能がないため、通常は手動での再設計が必要な部分です。

 

検証での「驚き」と「気づき」

1. いきなりコードを書かない。「計画(Plan)」するAI

従来のツールであれば、指示を出すといきなりコードが出力されます。しかし、Bobはまず「VB.NETコードの構造を分析」し、「Javaの同等機能を特定」するためのTODOリストを提示しました。
Bobの思考プロセス(ログより):

  1. VB.NETコードの構造を分析
  2. Javaの同等機能を特定
  3. Javaコードを作成
  4. 変換結果を確認


図1 自動で作成されたTODOリスト

この「一呼吸置いて全体像を把握する」挙動は、IBM Bobの特徴だと感じました。

2. ない機能は「作る」。驚異的な実装力

出力されたJavaコードを見て、最も驚いたのがIFormattableの再現です。 JavaにはVB.NetのIFormattableに完全一致するインターフェースはありません。そこでBobは、単にエラーを出すのではなく、FormattableStringというヘルパークラスを内部的に自動生成し、通貨フォーマットや引数処理のロジックを独自に実装して解決しました。
また、リフレクション部分についても、.NETのGetMembersをJavaのgetDeclaredMethods/Fieldsへ適切にマッピングし、さらにsetAccessible(true)まで付与して、privateフィールドへのアクセスも考慮した実装を行っていました。 「翻訳」ではなく「再構築(Re-architect)」が行われている証拠です。

3. コンテキストを理解した自律的な判断

変換の最後、Bobはパッケージ宣言に関する警告を検知しましたが、「単一ファイルとして実行する場合は問題ない」と自ら判断し、タスクを完了させました。 エラーや警告に対して、文脈(今回は検証用の単一ファイルであること)を理解して柔軟に対応する点は、エージェントとしての自律性の高さを感じさせました。

セキュリティと企業利用への安心感 

IBM製品らしく、Bobは「企業で使うこと」が大前提に作られています。 生成AIを業務利用する際、セキュリティは最大の懸念事項ですが、BobはIBM社のガバナンス基準に準拠しており、セキュアな環境でClaudeの高性能なモデルを利用できます。 また、IDE内で「インライン・セキュリティ・スキャン」が走るため、脆弱性を含んだコードを書くリスクを未然に防いでくれる点も、エンタープライズ開発において非常に心強いと感じました。

まとめ:AI開発の未来は「ペアプログラミング」から「チーム開発」へ 

今回の検証を通じて感じたのは、Bobは「エンジニアの指示を待つアシスタント」ではなく、「意図を理解し、実装方針を提案・実行してくれるパートナー」だということです。
これまでwatsonx Code Assistantで培ったCOBOLモダナイゼーションの知見に加え、このBobのようなエージェント型AIが登場したことで、PKUTECHがお客様に提供できる価値は飛躍的に広がると確信しています。特に、言語仕様のギャップが大きいマイグレーション案件(VBからJavaへの移行など)において、Bobは強力な武器になるでしょう。
正式リリースが非常に待ち遠しい製品です。


図2 エージェントのカスタムが可能

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