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純国産 AI-CSPM「Egeria-Security」のセキュアな設計が AWS 公式ブログに掲載
~ コンプライアンス文書からスキャンポリシーを自動生成。Amazon Bedrock の閉域利用で機密文書を守る設計を AWS ジャパンと共同執筆 ~
株式会社PKUTECH(本社:東京都千代田区、代表取締役:劉 甚秋、以下 当社)が開発する純国産 AI-CSPM ソリューション「Egeria-Security」の設計事例が、2026年8月20日、アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社(以下 AWSジャパン)との共同執筆記事として AWS 公式ブログに掲載されました。
本記事は、お客様のコンプライアンス文書という機微な情報を生成 AI に処理させるセキュリティ SaaS を AWS 上でどう設計すべきか、という論点を、Egeria-Security を題材に AWS のソリューションアーキテクトが整理したものです。データ保護、閉域ネットワーク、顧客環境への最小権限アクセスという三つの設計判断が、その背景とともに公開されています。
1. 掲載記事について
| タイトル | PKUTECH 様が Amazon Bedrock を活用して実現した AI-CSPM「Egeria-Security」のセキュアな設計 |
| 媒体 | Amazon Web Services ブログ(AWS 公式ブログ・日本語) |
| 執筆 | アマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社 ソリューションアーキテクト 伊勢田 氷琴 氏/株式会社PKUTECH(共同執筆) |
| 公開日 | 2026年8月20日 |
・記事URL:https://aws.amazon.com/jp/blogs/news/genai-case-study-pkutech/
2. 記事で紹介された 3 つの設計判断
(1)コンプライアンス文書から Cloud Custodian ポリシーへの変換を担う 2 エージェント構成
PDF を 1 ステップで YAML ポリシーに変換する初期方式では、存在しない AWS リソース名の生成(ハルシネーション)や再現性の不足が課題となりました。そこで役割を「PDF 取り込みエージェント」と「ポリシー作成エージェント」に分離し、Amazon OpenSearch Service 上の構造化ドキュメントを介して疎結合に連携させています。後段では Cloud Custodian の公式スキーマから取得した有効リソースタイプ一覧を選択肢として与え、生成結果がその一覧に存在するかを厳格に検証します。「自由に書かせる」から「決められた選択肢から選ばせる」への発想転換が、構文上の妥当性を担保しています。
(2)機密データの LLM 推論を閉域で完結させる設計
SaaS バックエンドが受信したコンプライアンス文書を LLM 推論に渡す経路は Amazon VPC 内で完結します。Amazon Bedrock へのアクセスは VPC Interface Endpoint(AWS PrivateLink)を経由するため、この通信にパブリックインターネットへの egress は発生しません。加えて Amazon Bedrock ではユーザーのデータがモデルのトレーニングに使用されないため、機密文書を LLM に投入する前提条件を満たします。
(3)顧客 AWS 環境への最小権限・最小干渉アクセス
アクセスキー直接入力方式や常駐エージェント方式を比較検討したうえで、AWS CloudFormation テンプレート + STS AssumeRole + ExternalID の組み合わせを採用しました。付与される権限は既定で AWS 公式の SecurityAudit マネージドポリシー(読み取り専用)であり、変更・削除権限を含みません。スキャン時には有効期限 1 時間の一時認証情報を都度取得し、使用後に破棄します。セッションタグにより顧客側の AWS CloudTrail から監査ログを追跡できます。これらは金融領域に関わる IT 企業での PoC におけるセキュリティレビューを経て、改修を重ねた構成です。
3. PoC で確認された効果
金融領域に関わる IT 企業での PoC 検証を通じて、以下が確認されました。
✅ 導入の初期障壁の低さ: 文書の登録からポリシー生成、スキャン実行までの一連の流れが問題なく実行できることを確認。エージェントレスかつ文書ベースであるため、SaaS 型で提供する場合、デプロイから文書登録・スキャン実行までは 1 営業日以内に完了できる見込みです(当社試算)。
✅ 専門知識への依存の低減: PoC 評価者より「AWS や Azure の専門知識がなくてもスキャンに必要なポリシーを容易に設定可能」との評価をいただきました。
✅ ポリシー網羅率: 取り込んだコンプライアンス文書から自動生成された有効ポリシーは、取り込み観点の約 50〜60% をカバーしました。残りは「適切なアクセス制御を実施する」といった抽象的記述や、人手プロセスに関する統制であり、別途運用設計が必要です。
※ 網羅率は、取り込んだ観点のうち実行可能なポリシーとして生成できた範囲を示すものであり、生成結果の修正不要率や検知精度を表すものではありません。
また、生成 AI 推論基盤を AWS のマネージドサービスに委ねたことにより、当社試算で GPU 調達・運用に 2〜3 人月、LLM ホスティング・スケーリングの開発に 3〜6 人月の工数が不要となり、約 12〜18 ヶ月を想定していた MVP 完成までのリードタイムを約 4〜6 ヶ月に短縮しました。
4. Egeria-Security について
Egeria-Security は、クラウド環境のセキュリティ設定を継続的に監視・評価する CSPM(Cloud Security Posture Management)機能を、SaaS 型で提供する純国産の AI-CSPM ソリューションです。
■ 従来の CSPM は CIS Benchmark や NIST といった汎用的な標準ポリシーセットを起点とするため、自社環境に関係のないアラートが混入しやすく、「なぜそのチェックが必要か」の根拠が伝わりにくいという課題がありました。Egeria-Security はこの順序を逆転させ、お客様自身のコンプライアンス文書を起点にスキャンポリシーを生成します。
■ 標準フレームワークや社内規程、委託先管理基準などを PDF でアップロードし、Amazon Bedrock を活用した AI チャットで対話しながら、自社に必要な「推奨事項」を抽出。
■ 抽出した推奨事項から、AI の支援を受けながら Cloud Custodian ポリシー(YAML 形式)を自動生成し、AWS・Azure の実環境をスキャン。
■ 生成された各チェック項目には、推奨事項 ID・準拠フレームワーク・カテゴリ・重要度といった文書由来の根拠メタデータが紐づくため、監査時にチェックの正当性を説明しやすくなります。
■ スキャン結果は違反の発生・解消の推移をタイムラインで追跡でき、改善状況を可視化します。
■ ルールエンジンには OSS の Cloud Custodian(Apache License 2.0)を採用し、ベンダーロックインを回避。政府統一基準(ガバメントクラウド要件)など日本基準のポリシーにも対応します。
5. 今後の展開
当社は Egeria-Security の CSPM 機能を起点として、AI を活用した CNAPP(Cloud Native Application Protection Platform)の実現を目指しています。今後、以下の機能を順次追加する予定です。
- ・AI-CIEM: クラウドユーザーのアクセス権・特権の自動チェック
- ・AI-CWPP: クラウド環境内の脅威やポリシー違反の検出
- ・AI-IaC スキャン: Infrastructure as Code で記述されたインフラ構成の自動チェック
6. コメント
PoC に参加された金融領域に関わる IT 企業のシステム部門ご担当者様からは、「ドキュメントの『構造化』精度が非常に高く、具体的な運用文書から自動的にシステムチェック観点へ落とし込める点に大きな可能性を感じました。既存の CSPM とは一線を画す明確な差別化ポイントがあります」との評価をいただいています。
7. 無償 PoC プログラムのご案内
当社では、Egeria-Security の導入をご検討いただくお客様を対象に、無償 PoC プログラムをご用意しています。お客様のコンプライアンス文書を実際に取り込み、自社基準に沿ったスキャンポリシーがどの程度自動生成できるかを、実環境でご確認いただけます。
- ・クラウドの設定ミス検知を、自社のセキュリティ規程や監査指摘事項に沿って運用したい
- ・海外製 CSPM のライセンス費用や機能過多に課題を感じている
- ・ガバメントクラウド要件など日本固有の基準への対応が必要である
上記のような課題をお持ちのお客様は、下記お問い合わせ先よりお気軽にご相談ください。